レインボーゲストハウス
ゲストハウスという名前が付いた宿泊施設に泊まったのは、これが初めてのことだったように思う。
ヨーロッパを旅していたとき、ドミトリーのユースホステルや、ホステルなどの安宿に泊まったことはあった。
ゲストハウスがいかなるものか、私は今回の旅行で実際にそれに泊まってみるまでまったく分からなかったのである。
レインボーゲストハウスの料金は、シングル、一泊300バーツであった。
日本円にして1000円ちょっと。安い。
私が泊まったのはエアコン付きの部屋であったから、エアコン無しの、ファンの部屋、つまり扇風機の部屋であれば、値段はもっと下がる。
(カオサン近辺を歩き回って、ドミトリーでなおかつ、共同シャワー、共同トイレ、エアコン無しというような部屋を探せば、もっと激安の部屋が見つかるであ
ろう。しかし、私はエアコンがどうしても欲しかった。それと、個室のほうがよかった。完全な超格安貧乏旅行に徹することがどうしても出来なかったのであ
る。)
私の泊まっていた部屋は、大きさは3畳ほど。
最大の特徴は、部屋に「窓が無い」ということである。
窓が無い部屋というのは、昼夜の別というのが全く分からないということである。
時計によってしか、朝が来た、夜が来たという判断が出来ないということだ。
下手をすれば、こういう窓が無いような部屋に泊まっていると、頭がおかしくなるんじゃないか?とも思えた。
しかし、住めば都とはよく言ったものであって、このゲストハウスに泊まって3日、4日過ぎる頃になると、かなり居心地がよくなってきた。移動するのも面倒な性分であるから、バンコクにいる間はずっとこの部屋に逗留していた。
部屋の中のモノでまず気になったのは、「トイレとバスが一緒になっている」というその構造である。
シャワーを浴びるとする。
すると、流れた水で浴室全体が水浸しになる。トイレも一緒なので、当然のことながら、水が完全に排水溝に流れるまでは、トイレを気分よく使うことが出来なくなるのだ。
シャワーの湯の量も気になった。
一応、ホットシャワーであったが、湯の温度も低かったし、温度調節は出来たのであろうが、機械が壊れていたのか、私の使用方法がまずかったのか、湯はずっとぬるいままであった。
また、勢いよく、「ジャバー!」と気持ちよく湯を浴びることが出来ない。
給湯器のところに、「enjoy shower」と書かれてある。
パタヤで泊まったホテルの給湯器にも「enjoy shower」と書かれてあった。ゾウのイラストが可愛らしい。
しかし、水の出が悪かったら、エンジョイも何もないじゃないか!と私は一人、憤懣やるかたない気分を味わっていたが、、、仕方がない、安ホテルは安ホテルなみの設備しかないのである。
そうではあっても、だんだんと不便さというものに慣れていってしまうものだ。
これは私見であるが、貧乏旅行者というものは、例えば宿が不便であればあるほど有難がるような、そういう奇特な心性の持ち主ではないか?と思う。
自らの旅で困難に出会えば出会うほど、何か自分にとって大変な経験をしたかのような、そんな錯覚を覚えてしまうのだ。
本当はお金があればわざわざ貧乏旅行をする必要はないのであるし、今の時代、第三世界だろうと、南の貧しい国であろうとどこでも、お金を出せば、やはりそれなりのいいホテルに泊まることができる。
それでも、やはり安宿は安宿の楽しみというものがあるのは事実であって、私は多分これからも安宿に泊まり続けるだろうと思う。
※トイレに関すること


部屋にあったトイレでまず目についたのが、「ウォシュレット」の存在であった。
トイレの便器の脇に、小型のホースが備え付けられてある。
私はこれを最初見たとき、「何だろう」と思って気にも留めないでいた。
だが、旅の途中で出会った日本人旅行者から、そのホースの使い方を教わった。
それは用便を済ましたあとに、自分の尻に向けてホースのスウィッチをひねることによって、尻を洗うことが出来る装置である。
「ウォシュレット」は電気で動くから、厳密に言えばこの装置はウォシュレットとはいえない。
“タイ式ウォシュレット”とでも言ったらいいだろうか?
(私はこの装置の正式な名称を知らない)
しかし、慣れるとこのウォシュレットはすごぶる快適である。
タイ中のいたるところのトイレに、これが備え付けられてある。
これは水量が多ければ多いほど、すなわち、水の勢いがあればあるほど気持ちいいものであることを後で知った。
※電気に関すること


どういうわけか分からなかったが、日本から持ってきた電気製品がそのまま使えた。
コンセントの形状がたまたま同じだったのである。
しかし、電気製品によっては変圧器が必要らしく、タイの場合、「220V、50Hz」である。
私の持っていたドライヤーなどの電気製品は、すべて海外旅行用のモノであった。
しかし、コンセントだけはいるだろうと思って、日本から「サスコム」という海外旅行用のコンセントをわざわざ持ってきたのだけれど、それは必要なかった。
さて、そんなこんな、あれこれやっているうちに、夜もかなり更けてきた。
気が付いたら夜の2時を過ぎていた。
海外旅行の最初の晩というのは中々、寝付けないものである。
特に枕が変わると寝付けないものであるが、私が泊まっていたゲストハウスはやたらと枕やマットレスが硬かった。
ふかふかのベッドに横になって、ぐっすり極楽安眠ホテルライフ♪、というわけにはいかなかった。
しかしそれでも、連泊しているとベッドでさえも体に馴染んできてしまうから不思議である。